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いろいろな inflationary theory

宇宙,宇宙論,宇宙の始まり,ビッグバン,インフレイション,グース,リンデ
2001/8、2003/8

宇宙のページ

質問をどうぞ

いろいろな inflationary theory

 

提唱年

提唱者

 

 

 

Edward Tryon

真空から宇宙が生まれる可能性を示唆した。

inflation

1979

Starobinsky(ソ連)

最初の理論。量子重力を扱い、複雑。

old inflation

1981

Guth(アメリカ)

わかりやすい理論。しかし、インフレイションが終わるとき、一様でなくなるという問題点があった。インフレイションと言うと、この理論が紹介されることが多いが、Guthは1年後この理論を撤回した。

new inflation

1982

Linde(ソ連)

 

multiverse

1981

佐藤勝彦

宇宙の多重発生理論

chaotic inflation

1983

Linde

 

extended inflation
拡張 inflation

1983

ポール・スタインハート
ダイル・ラー

 

hybrid inflation

 

 

 

open inflation

1995

バラット・ラトラ
ジム・ピーブルズ

宇宙が平らになる前にインフレイションが終わるように考えた。

super natural inflation

1995

リサ・ランダル
Guth

 

self-reproducing
inflationary universe

1998

Linde

 

 

 

Bucher&Turok&Goldhaber

2回 inflation が、起きた

 

Linde

1948年ロシア生まれ。現在、アメリカ・スタンフォード大学の教授。

Guth

アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。

真空のゆらぎ

真空のゆらぎによって電子と陽電子生まれては消える。その程度は 10-21秒 10-10cm以下。

真空のゆらぎによって、宇宙の種がプツプツと生まれる。その種の総エネルギーは 0 なので、その種が存在する時間は無限であってよいことになる。

無境界仮説

ハートルとホーキング

old inflation

by Starobinsky & Guth
偽の真空の中に、真の真空の泡がたくさんでき、それらがくっついてひとつの宇宙になるという理論。ところが、計算すると、偽の真空の泡はひとつの大きな宇宙ができるほどくっつかないことがわかった。また、ひとつの泡は、宇宙全体の物質を生み出すほどのエネルギーを持たない。Guth 自身、この理論を撤回した。

new inflation

by Linde
old inflation とは違う形のスカラー場を考えることによって、ゆっくりとした相転移が起こり、偽の真空の中の真の真空の泡ひとつが、急激な膨張をし、ひとつの宇宙になるとする。宇宙全体の物質を生み出すエネルギーを得ることができる。
multiverse や chaotic inflation や self-reproducing universe につながる考え方である。

密度摂動

宇宙の誕生後30万年後、再結合(電子と陽子が結合し、電気的中性なガスを作った)のとき、密度摂動は 10-5 であるらしい。そのスペクトルは、尺度不変(波長の強さが、波長によらず一定)。この密度のゆらぎが、銀河・銀河団などを生む。インフレイションが終わるのは場所によってずれるので、この密度摂動が起こるらしい。

scalar field

スカラーとはベクトルに対する言葉。ベクトル場とは、その場所に応じて、方向までも考える場。電磁場など。スカラー場とは、その場所に応じて、数値だけが関係する場。温度とか、大気圧など。
素粒子論の標準理論の the Higgs fields や、大統一理論( grand unified theories )は、スカラー場である。
the Higgs fields を、標準理論では4個、 大統一理論では24個含む。

ポテンシャル・エネルギーを持つ。すなわち、質量を持つ。
inflation では、次の2つのスカラー場が重要である。the inflaton field と the Higgs field である。

相転移

inflationary theory というと、相転移が必ず紹介されるが、Linde は、相転移は必要ないと言っている。

chaotic inflation

by Linde
インフレイションに次のものは必要ない。量子重力の効果・相転移・過冷却・高温など。
インフレイションの前の場が場所によって異なる値をとり、インフレイションの起こる場所、起こらない場所ができるが、インフレイションの起きた場所の領域が、後の宇宙を占める。インフレイションは、いつでもどこでも起きる可能性がある。

拡張 inflation

重力の強さが、時間と共に変化し、宇宙の膨張が遅い時期があり、真の真空の泡が他の泡とくっつき、ひとつの宇宙となりうる。old inflation の修正版。

super natural inflation

by Guth
chaotic inflation は 10-44 秒後から始まり、10-27秒後に終わる。そのあと、 super natural inflation が続く。
super は、超対称性を表す。natural は、未知の19個の物理パラメーター(電子の電荷や質量など)に典型的な値を持たせる。

self-reproducing inflationary universe

1998年、by Linde
宇宙では、不確定原理による量子ゆらぎあり、スカラー場の大きいところと小さいところがある。大きいところではインフレイションが起き、ビッグバンへとつながっていく。宇宙の一部分から、新しい宇宙が生まれ、そのできた宇宙から、さらに、新しい宇宙が生まれるというものである。Lindeは self-reproducing universe (自己増殖する宇宙)と呼んでいる。
宇宙論的な相転移は必要ない。
現在の宇宙でも、場所によっては、新しいインフレイションが起き、新しい子宇宙が生まれる可能性がある。

次々に自分と同じ形を生み出してできた図形を fractal と呼ぶ。宇宙は fractal であるとする。

人間原理という謎がある。宇宙のできごとは、人間が生まれるのにうまく行き過ぎてる fine-tuning 、いろいろな物理定数がほんの少しでも違うと人間は生まれない。なぜ、このように奇跡的にちょうどよい値を持っているのか。
Linde の理論によれば、我々の宇宙は、無数の宇宙のひとつであると考えられるので、人間原理を満たす宇宙が、たまたま生まれたのだと考えられる。


参考図書

「なぜビッグバンは起こったか」 アラン・グース著 はやしはじめ・はやしまさる訳
早川書房 1999/6/30初版 定価本体3600円